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奇才 ティム・バートン

ハロウィンにクリスマスと肌寒くなってきてから訪れる2つの大イベント。日本のハロウィンもここ数年ですっかり定着し、都市部を中心にお祭りムードへと変わります。

そんなハロウィンやクリスマスの時期に姿を現す、ディズニーのちょっと不気味なキャラクターを知っているでしょうか。「ティムバートンのナイトメア・ビフォア・クリスマス」です。ディズニーキャラクターだということはまだあまり知られていなかったりするのですが、今年もサンタクロースのような格好でディズニーランドにその姿を現しました。

ちょっと不気味だけれどハマる人も多くいるナイトメア・ビフォア・クリスマスをつくったのは、多くの映画作品なども手掛ける奇才、ティム・バートンです。また「ビートルジュース」という映画をもとにしたショーがユニバーサル・スタジオ・ジャパンで行われていることも知られています。

この「ビートルジュース」も実はティム・バートンの作品なんです。2大テーマパークともから親しまれているってすごいです。ティム・バートンっていったいどんな人物なのでしょうか。彼の作品をとおして覗いてみたいと思います。

 

プロフィール

ティム・バートン Tim Burton

1958年8月25日生まれ

アメリカ合衆国 国籍

芸術家、映画監督、映画プロデューサー、脚本家

 

ティム・バートンの主な映画作品

1988年「ビートルジュース」

1989年「バットマン リターンズ」

1990年「シザーハンズ」

1993年「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」

1999年「スリーピー・ホロウ」

2005年「チャーリーとチョコレート工場」

2010年「アリス・イン・ワンダーランド」

2012年「フランケン・ウィニー」

ほか

 

映画とティム・バートン

映画が好きな人なら、ティム・バートンの名を意識していなくても観たことのある作品があるのではないでしょうか。特にジョニー・デップの出演作品は多く、彼のファンならば必ず1作品は観ているといえるかもしれませんね。

彼の手掛ける作品は、うす暗いタッチで描かれるものが多いという特徴が挙げられます。ですが、例外として最近の作品では「チャーリーとチョコレート工場」や「アリス・イン・ワンダーランド」が有名になりました。こちらはとても鮮やかな色彩で描かれていて、ほかの作品とはちがった印象を受けます。ただ、登場する人物たちを見ればさすがティム・バートンワールドだな、と納得してしまうような超がつく個性的なキャラクターたちであふれています。

また「アリス・イン・ワンダーランド」で(残念ながら最近になって破局してしまったといわれています)顔の大きな「赤の女王」を演じているのが、子どもももうけて長年パートナーだったヘレナ・ボナム=カーターです。彼女もティム・バートン作品によく参加しています。彼の作品には有名人たちをも魅了する不思議な魅力があるようです。

 

ティム・バートンのイラスト

ティム・バートンはとても多くのイラストを描いていて、日本でも作品展が開かれています。幼いころから絵を描き続けてきた彼の歴史の一部を見ることができるので、それはとても興味深いものでした。スケッチブックに描かれたものから、中には紙ナプキンに描かれた落書きのようなものまで展示されていて、その多くの作品からは彼の繊細さとともに、ちょっとおちゃめな部分も垣間見ることができます。

細いタッチでこまかく描かれる彼のイラストは、独特の味わいがあります。そのイラストは孤独感やどこか物悲しいものを感じさせ、一方で無邪気な暴力のようなものも描かれていたりします。映画など作品として完成するものもあれば、そうでないものも多く存在します。それでも彼は、いつでもどこでもペンを手にとるとひたすらに描き続けているのだな、という印象を受けました。

物販コーナーでは「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」のグッズをはじめ、映画化したもののほかに作品展の限定として商品化されたイラストもあり、彼の世界観に最後までどっぷりと浸れるとてもおもしろい展示会でした。

 

暗い雰囲気でちょっぴり怖いイメージもあるティム・バートンの作品ですが、不器用な愛情やピュアな感情など、ただ不気味なだけではないキャラクターたちの個性がとても繊細に描かれています。鮮やかでもモノトーンでもインパクトの強い作品を手掛けつづけるティム・バートン、作品として世に出ていないものがまだまだたくさんあるようなので、これからの活躍にますます期待が高まります。

ディズニー/ピクサー最新作『リメンバー・ミー』公開(感想とコメント)

ディズニー/ピクサー最新作『リメンバー・ミー』が2018年3月16日に公開されました。アカデミー賞W受賞、さらに、監督はあの名作『トイストーリー3』でおなじみのリー・アンクリッチ監督。こんな一流づくしの作品を鑑賞せずにはいられません。そんなわけで、早速『リメンバー・ミー』を映画館で見てみました。ネタバレが含まれますので、内容を知りたくないという方は、閲覧をお控えください。

 

舞台はメキシコの死者の祭り

 

舞台はメキシコ。この国には、死者を弔い、素敵な思い出を振り返る死者の日というものがあります。そんな特別な日を迎えた主人公ミゲル。彼の興味はどちらかというと…音楽のみ。小さな頃から、ずっと一流のミュージシャンになることを夢見てきました。しかし、家族は皆、ミゲルに音楽をやめるよう説得します。説得というよりも、音楽を毛嫌いしているという表現の方が正しいでしょう。ミゲルは音楽を自由に楽しませてくれない家族に反発するように、死者の日すら、蔑ろにすることに…。お祭り気分に酔いしれる人々と、音楽だけを追い求めるミゲル。

 

音楽が毛嫌いされる理由は過去に

 

ミゲルの家族が皆音楽を毛嫌いする理由は、ただ一つ。先祖にミゲルのおばあちゃんのお父さんに当たる人、つまり、ひいおじいちゃんは音楽を愛する人でした。音楽への思いが強いあまり、家族を捨ててまで夢を追ってしまったのです。そんな忌まわしい記憶があるからこそ、家族は皆、ひいおじいちゃんをまともな家族とすらみなしていないのでした。

 

忘れられる存在とは

 

死者の祭りの大事なキーワードは思い出です。死者の日というものを設けることで、人々は、改めて、今の自分が先祖からのつながりであることを思い出し、死んでいった皆に感謝をするのです。その際に大事なのが、思い出。「おじいちゃん、おばあちゃん…あんな人だったね…」と皆で思い出話に花を咲かせます。さらに、忘れてはならないのが祭壇です。各家庭に用意されているもので、ここに、先祖の写真が飾られます。…それが普通なのですが、ミゲルの家の祭壇にある、ひいおじいちゃんの写真は顔の部分がありません。それだけ、家族から恨まれているということなのでしょうか…。

 

死後の世界へ…

 

夜のこと。憧れのミュージシャンのお墓に忍び込んでギターを借りようと(大会に参加するにはギターが必要という理由で泣く泣く)したミゲルでしたが…いつの間にか、世界の裏側へと渡ってしまいます。周りにはたくさんの骸骨人間が。つまり、たくさんの死者が、死後の世界から、家族に会いに帰ってきたのです。そう、死者の日はそんな特別な日。死者は美しい花でできた、オレンジ色の橋を渡って、現世にやってきます。しかし、全ての死者が橋を渡れるわけではありません。通行するには、特別な審査を通過する必要があるのです。条件は、現世の誰かに覚えてもらっていること。そして、写真が祭壇に飾られていること。

 

向こう側へ行けない男と出会う

 

ミゲルは、憧れのミュージシャンを探し求め進みます。そんなある時、彼を知っていると言う謎の男が現れます。「助けてあげるから、代わりに、俺の写真を現世の祭壇に飾ってくれ。そうすれば、俺は橋を渡ることができる」と言うのです。つまり、向こう側に渡れないから、うまく協力して、助け合おうという魂胆。仕方なく協力するミゲル。伝説のアーティストに会うためにいい方法を思いつきます。それは、彼の主催するパーティーへの参加権をかけて戦われるコンテストに参加すること。これで優勝すれば、その男に一目会うことができます。

 

コンテストに参加した結果…。ここからが一番の面白いどんでん返しが畳み掛けで始まるので、是非とも続きは本作品をご覧ください!

 

文化と視覚的技巧、ストーリーが調和

 

最後に、コメントに比重を置いておきましょう。この作品の素晴らしさは、文化的背景の説明(無理せず、メキシコの文化や風習に触れることができる)、視覚的技巧、そしてストーリーが見事に調和している点にあります。物語に吸い込まれ、カラフルな異世界を視覚的に楽しんでいるうちに、メキシコならではの「死後の世界と現世の関わり方」を体で感じることができます。生と死についての考えや価値観は宗教や国、地域で大きく異なるもので、メキシコのそれに触れられるのは、とても貴重な経験です。単なる「よくできたストーリーだった」で終わらないところが、この作品の深みだと言えるでしょう。